車に興味を持ち始めたのは高校生の頃だった。
当時は親戚で集まる機会が多く、年上のいとこたちがホンダのプレリュード、トヨタのクレスタ、日産のグロリアなどに乗っていた。いとこの友人が乗っていた改造されたマツダRX-7や、叔父のクラウンマジェスタにも魅了された。
大学生になって運転免許を取得すると、まずは実家にあったMT仕様のトヨタ・コロナで運転技術を身につけた。その後、アルバイトで貯めたお金で日産パルサーを購入した。
就職して2年ほど経った頃、MT仕様のトヨタ・チェイサーに乗り換えた。HKS関西に持ち込み、インタークーラーやコンピューターを交換。ブローオフバルブをバシュバシュと鳴らしながら走っていた。
当時は、とにかく馬力に魅力を感じていた。
そんなある日、職場の先輩が乗っていたスバル・レガシィB4に同乗する機会があった。
交差点での右左折時に感じた低重心の安定感は、それまでの自分の車に対する価値観を変えるものだった。馬力ばかりを追い求めていたことを、少し反省した。
そしてレガシィツーリングワゴンに乗り換えた。
その後、雪国への転勤もあり、水平対向エンジン(BOXER)とAWDの組み合わせを存分に楽しんだ。
ここまでは、すべて新車で購入していた。レガシィツーリングワゴンは約7万km走ったが、海外転勤が決まり、やむなく中古車買取業者に手放した。
海外では経済的な余裕もなく、まず中古のトヨタ・カローラセダンを購入した。その後、子供の送り迎えなどで2台目が必要になり、帰国する日本人からマツダMPVを譲ってもらった。
現地では走行距離10万kmの車にも十分な商品価値があり、新車を購入するという発想はあまり一般的ではなかった。
この経験を通じて、中古車に対する偏見がなくなった。
帰国後も経済的に余裕があったわけではなく、5年落ち、走行距離34,000kmのフォレスター CROSS SPORTS 2.0iを135万円で購入。再びスバリストとなった。
その1年半後には、2年半落ち、走行距離19,000kmのレガシィB4 2.5i Lパッケージに193万円で乗り換えた。
この車には8年弱乗った。
そして次に選んだのが、4年落ち、走行距離28,000kmのWRX S4 2.0GT-S。購入価格は273万円だった。
300馬力の走りは、やはり魅力的だった。
このWRX S4に6年間乗り、走行距離は9万kmを超えた。
今年の夏、10万kmを見据えた点検と整備を終え、あと2年は乗ろうと思っていた。しかし、ダンパーにオイルのにじみがあると指摘され、今後の高額な修理費用が頭をよぎった。
そんなとき、何気なく見ていた中古車サイトで、好きな色のインプレッサを見つけた。
ほとんど衝動的に乗り換えを決めた。
購入したのは、2年弱落ち、走行距離約9,000kmのインプレッサST-H。価格は323万円だった。
考えてみれば、私の車の走行距離の9割以上は通勤である。300馬力が必要な場面など、まずない。
それどころか、パワーがあるとついスピードを出してしまうリスクもある。
また、年齢を重ねたことや、奈良県の一般道路の路面状態があまり良くないこともあり、硬い足回りの車に少し疲れてきたというのも正直なところだ。
今回の乗り換えで、車重は約40kg増え、エンジンの最高出力はほぼ半分になった。
いわば牙を抜かれたような車になったわけだが、それなりに満足して乗っている。
それにしても、車は高くなった。
新車だけでなく、中古車も高い。維持費も決して安くない。
街を見れば、ドイツ車やレクサスなどの高級車に加え、大きなSUVも数多く走っている。
同年代の人たちは、どのような価値基準で車を選んでいるのだろうか。
もちろん、今の車は昔に比べて燃費性能も安全性能も格段に向上した。快適性も高まっている。
それでも、若い頃にプレリュードやRX-7を見て感じたような、胸が躍る感覚を、今の車にはなかなか抱けなくなっている。
それは車そのものが変わったからなのか、それとも自分が年齢を重ねたからなのか。
おそらく、その両方なのだろう。
少し寂しい気もするが、今はインプレッサで毎日の通勤を快適にこなすことにも、それなりの満足を感じている。